手紙

「もう、これでいいと思う」

このローテンポで進めて行くと、作り手として考えるのは客の「弛緩」だと思う。僕が考えるのにそれを継続させないために、趣旨とは外れて音響や映像を使い「緊張」を定期的に与え、本来客に伝えたい趣旨まで通す。

しかしこれは無い。「弛緩」を区切らせたのは主人公らの漫才の「ネタ」である。作中に盛り込まれていた為、違和感があるはずもなく、驚いたことにそのネタが面白いのである。この映画に客が冷めるとしたら「ネタ」の質以外はないと思うので、その「ネタ」が石ころにならないのなら言うモノが無い。

あとは挿入曲であるのだが、僕としては非だ。

改めて、商業的に成功し、総合力である1本の映画を完成させる難しさを感じた。